耳鼻咽喉科・小児科の救急処置について、ご家庭での一般的な対策法となります。参考にしてください。
全ての症状にあてはまらない場合もありますので、個々のケースでは、かかりつけ医までご相談ください。
耳痛
風邪を引いているときに起こる耳痛は、急性中耳炎だと考えられます。鼻やのど、つまり上気道のバイ菌が耳管(耳と鼻をつなぐ管)を通って、鼓膜の奥の中耳(ちゅうじ)に入りこんで炎症を起こしています。一晩、もしくは2〜3日で痛みはおさまりますが、中耳に膿がたまったままで、難聴の原因となることもあります。
家庭でできる対処法
患部を氷枕などで冷やしたり、涼しい場所に移動すると、痛みが軽減する場合があります。逆に暖まると痛みが増すこともあるので、入浴はやめておきましょう。夜間や休日であれば、解熱鎮痛剤を1回使用していただき、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
鼻血
粘膜の傷や、打撲による鼻血はすぐに止血できます。特に子どもは鼻の粘膜が大人より弱く、鼻血が出やすいといわれています。持病に対して、抗凝固剤(血液をサラサラにする薬)などを飲んでいる方の場合は、止血しにくいことがあります。
家庭でできる対処法
まず楽な服装、姿勢にさせて鼻血を飲み込まないよう座った状態で少し下を向かせ、のどに流れ込んだ血液は口から吐き出させましょう。両側の鼻翼を指でしっかりと摘まんでいると止血できます。
それでも血が止まらない場合は医療機関へ行きましょう。その際、鼻血が始まった時間、出血している時間の長さ、おおまかな出血量、出血のきっかけを伝えましょう。服用中の薬などあれば持っていきます。ティッシュペーパーなどを鼻の中に押し込むことは避けてください。
喘鳴(ぜんめい)
呼吸に、ヒューヒュー、ゼーゼーという異音が聞こえることを、喘鳴(ぜんめい)といい、呼吸が少し苦しくなっています。発熱をともなう場合はもちろん、いつもと違う変な声を出すときや横になって休めないような喘鳴であるときは、急いで医療機関を受診しましょう。仮性クループ・急性喉頭蓋炎・喘息発作などの病気のときは、早急な治療が必要です。症状が始まって治療を開始するまでの時間が長くなると、外来での治療だけでは回復が困難で緊急入院が必要となることがあります。
家庭でできる対処法
軽い発作の場合は、水分を飲ませて落ち着かせたり、話しかけて安心させたり、気分転換をすると治まる場合があります。環境が埃っぽいときは、空気のきれいな部屋に移しましょう。咳込んでしまったら、背中や胸を手のひらでトントンとたたいてあげましょう。吸入薬を処方されている場合は、吸入させると良くなることがあります。ゼーゼーと呼吸するたびに音が聞こえる、肩で呼吸する、横になると苦しいときは早急に医療機関を受診するようにしてください。
異物の誤飲
乳幼児は、興味を持つと何でも口に入れようとします。そのため、のどに詰まらせやすいものを手の届くところに置かない、何かを食べるときは大人が付き添うなど、注意が必要です。
家庭でできる対処法
紙やせっけんなどごく少量を飲み込んでも平気なものもありますが、ピーナッツ・タバコやボタン電池などは大変危険です。特に飲み込んだとたん、咳が始まった、顔色が悪くなったなどの症状がみられたら、ただちに医療機関を受診してください。
発熱
子どもの発熱の多くは耳鼻咽喉科領域の感染症が原因です。当院では、血液検査や各種の迅速診断キットを用いて来院時に診断を確定するよう努力しています。診断が確定できれば、どんな薬が良いか、発熱が何時頃まで続きそうか、入院が必要かなどを見極めることができます。
家庭でできる対処法
おでこや首筋を冷やしてあげましょう。38.5度を超えて、食欲不振などが起こるときは解熱剤を使ってください。
しかし、高熱でも寒がって布団をたくさん着たがるようなときは、解熱剤をむやみに使うことで、かえって身体を冷やして病状が悪化することがあります。高熱に加えて、悪寒・頭痛・関節痛・食欲不振などを伴うときは、早めに医療機関を受診しましょう。
食欲がない場合も水分は取らせるようにして、脱水を予防することが大切です。
温かい粥やみそ汁・梅干は胃腸を痛めることがありません。昔ながらの和食を与えてください。